しかし、彼らの全員が僕と同様に、あの青と白のチェック模様の大きなテーブルのそばで、クロードとエレーヌと一緒にコーヒーを飲んだひとときがあったはずだと確信している——僕の帰国後、僕がいた部屋で暮らすことになるスーダン人男性が、小さなカップに入ったコーヒーに角砂糖を一つ落とし、スプーンでさっと素っ気なく、でも優しくかき混ぜていた姿を思い出す。
18だが彼は逆に「傷つけないこと」を生きる原理とする力強い存在へと変貌する。 小野正嗣さんの経歴は? 1996年に新潮学生小説コンクールでデビュー。
主人公・隆は、様々な挫折を経て「魂のことをしたい」と願うようになり谷へ向かう。 それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!. 今回、小野さんが取り入れていた「パッツン前髪に丸眼鏡」といえば、もはや「ダリの口髭」と同じく、藤田嗣治を象徴する記号のようなファッションだと言えるでしょう。 早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞し、『獅子渡り鼻』で第35回野間文芸新人賞候補。
15なお、直木賞を受賞する前に最愛のお兄さんを脳腫瘍でなくしており、 受賞できたことはとても感慨深かったようです。
そのどちらがより〈自分〉であるかを決めるのは、国家でも社会でも家族でもなく、自分自身である。 「根拠地か巡礼か」「組織か個か」という二極に引き裂かれながらもその矛盾を引き受け、特定の宗教によらない「祈り」を求め続けるギー兄さんの姿は大江本人の営みとも重なる。
12経歴 1996年:新潮学生小説コンクールでデビュー 2001年:「水に埋もれる墓」で 第12回朝日新人文学賞受賞 2002年:『にぎやかな湾に背負われた船』で 第15回三島由紀夫賞受賞2003年:「水死人の帰還」で 第128回芥川龍之介賞候補 2006年:に東京大学教養学部助手、2007年に明治学院大学文学部専任講 師に就任(現代フランス語圏文学) 2008年:「マイクロバス」で 第139回芥川龍之介賞候補。 彼らの協力を得ながら、古今の文学や宗教書の引用からなる「新たな福音書」や新しい形の「祈り」が生み出されていく。
線路と川と母のまじわるところ(『小説トリッパー』2008年冬季号)• 著者 小野 正嗣 出版日 2015-02-02 「『浦』の駐在だったとき、お父さんは頭を悩ますことばかりだった。 昭和45年生まれ。 湾の上には誰のものでもない船が浮かんだままだったし、ミツグアザムイが浜にあるという屍体はどこにあるのかわからないままだった。
19同言語情報科学専攻単位取得退学。
昨年、小野さんが日曜美術館の司会を担当することになり、初回の収録の際にご挨拶させていただきました。 ただ、今回はあえて後期の作品にチャレンジしようと思いました。
でも、受賞すると結果的に多くの人に読んでいただけるので、たいへんありがたい、とも言われます。
旅する部族(『小説トリッパー』2005年冬季号)• お兄さんは、残念ながら亡くなられましたが、そんな時期に「九年前の祈り」は執筆されました。
訳書にマリー・ンディアイ『三人の逞しい女』など。